disk union CRJ-tokyo presents「サウンドポタージュ リリースパーティ」ライブレポート

6月5日に開催した『サウンドポタージュ』のリリースパーティーのライブレポです。ご来場本当にありがとうございました。
(なお元の記事は今週発行のメールマガジンにも載っております→http://archive.mag2.com/0000002108/20090608092000000.html)

PADOK
トップバッターは渡部牧人による歌ものソロユニット(しかし本日はサポートメンバーを率いての3ピースバンドスタイル)PADOK。音源が素晴らしく綿密に構成されたいわゆる「宅録」系のものであったが為にそれがライブではどう表現されるのかという所が気になっていたのだが、なんということもない。楽曲の緻密さや面白さはそのまま、更にがっちりと絡み合うアンサンブルは会場の空気を独特のものへと変化させ、その中で渡部氏が決してがなったりせずにその細く、繊細な声で切実に言葉を搾り出して歌う姿は実にフィジカルなものだったと思う。今はライブの予定は無いそうだが、今後も是非とも活躍して欲しいと思わせる演奏だった。(TRY)

thai kick murph
続いて登場したのは、会場にごきげんな風を流し込んでくれたタイキックマーフ!声高らかな投げかけの言葉(?)と「タイキックオリンピック」で幕が開け、『サウンドポタージュ』収録の「ネオホンコン」では動きで遊び心を思いっきり見せてくれたりと、はじけた空気が途切れることないステージでした。私は彼らの楽曲は何度も聴いていたけれど、ライブを観るのは今回が初めて。何より素敵だったのは5人のバランスです。私が今まで出逢ったこういったポップさを備えたバンドは、どうしてもボーカルに存在感が偏りがちになっていたけれど、彼らはメンバーそれぞれにスポットライトが当たっているかのような、全員の個性が発揮されたライブを見せてくれました。しっかりと各楽器の音を鳴らしつつ素晴らしい歌を聴かせるミヤオさんとセキさん、頼りになるドラミングで支えるカネダ氏、そして向き合いながらテンション高いギタープレイを見せるウチヤマ氏とワジマ氏の姿を見るだけで顔が綻んでしまいました。確かに彼らのアクトはとびきりの元気をくれるムーブメント! でした! (ガッキー)

ARTLESS NOTE
可愛らしいメロディーと暴発する展開が実に彼ららしい新曲からスタートしたARTLESS NOTEthai kick murphから続けて演奏のドラム・カネダ氏は悟りを開いたかのように振り切れて、シンセ・ミズタニ氏はホイッスル吹きまくり・ピアニカ直吹き・時には演奏放棄して暴れる暴れる。ボーカルのセキネ氏もギターノイズや妙な動きの連発で終始テンション高めでつい笑ってしまう。けれども彼らの武器であるポップなメロディも変則リズムも緩急の展開も、ごく自然に聴かせていて、むちゃくちゃ楽しみながらも勢いだけの演奏でないそのバランスの良さ、翻弄される感覚、そして何より3人の呼吸の合い具合が気持ち良くて堪らなく魅力的でした。トライアングルの中心に生まれた渦に会場全体が巻き込まれた確かな感触は、この日のヤマだったと思います。本当に素晴らしい「バンド」だと再確認。とても楽しかった! (タマちゃん)

Mr.fingers!
メンバー6人がずらっと並んで、有無を言わせぬ確固としたかっこよさを演奏してくれたMr.fingers!。彼らを特徴づける一筋縄にいかない歌詞とぎりぎりの高い声で歌うフロントマンは、時折ロボットのような動きをしながらいい存在感を放っていました。ベースの方の、ステージ前の柵に登ろうとしてうまくいかなくて落ちるという繰り返される情熱的で不毛な行為とそれに対するメンバーの方々の冷静な対応、のアンバランスになんだかにやり。メンバー全員が胸元に「kawasaki」とプリントされた緑色のTシャツを着用していたのですが、そのことには一度も触れず……なんだったんだろう、とっても気になる。(サチコ)

シグナレス
ゆーきゃん+あらかじめ決められた恋人たちへ(の池永氏)でシグナレス。この2人のコラボというのは音楽的に考えるとなかなか想像がつかない方も多いかもしれないが、1+1=2という単純な足し算にはならない魅力を放っていたステージ。ダブというよりは現代的でほの暗いエレポップと言った方がふさわしいトラックが時折ダビーなエフェクトを効果的に織り込みながらサンプラーから発せられ、浮遊感のあるゆーきゃんのヴォーカルと溶け合い形容しがたい空気感を産んでいた。素晴らしいので是非シグナレス名義でフルアルバムのリリースを! (GENJI)

今井三弦
転換時に2回、PA横のわずかなスペースで行われた今井さんの弾き語り。1度目はthai kick murphの演奏後、会場のざわつきをよそに始められました。細い声、小さなマイクにアコースティックギター1本でたんたんと進む演奏。柔らかい曲が多かったけれど、どことなく内にこもった感じではありました。それでもずっとそばにあっていてほしい。ずっと近くで聴いていたい、と思う演奏でした。2度目はシグナレスの後、1度目よりも会場全体が聴く体勢になっていたので、しっかり聴き入ることが出来ました。何よりも印象深かったのが、会場が真っ暗だったからこそ、はっきりと気付くことが出来た、「淡い光」のその光。それは煌々とした強い光ではないけれど、そして強い光/わずかな光だから良いというわけでもなくて、今井さんの歌には確かに、祈りのような光があって。それが本当に素晴らしかったです。とても素晴らしい演奏でした。(ふくちゃん)

SuiseiNoboAz
この日の最後を締めたのが、FUJI ROCK FESTIVALへの出演も決まったSuiseiNoboAz。直前の今井さんの演奏で和やかにクールダウンした場内でしたが、彼らの登場でそれが一転。熱気あふれる空気が満ちました。2ndCD-Rからの1曲「プールサイド殺人事件」で舞台の幕開け、圧倒的な音量・音圧・音響・音色に気分は高揚! クーーール(カーッコイイーー)。下手にドラム、中央奥にベース、上手に歌・ギターの3人で出している大きさ・厚さとはとても思えない程、体を前後右左に揺さぶる音音音たちでした。楽器の響き方が聴かせたコンピ収録曲「my disco」も経て、「水星より愛をこめて」発信さレター最高潮の1曲が終わると、アンコールも。チューニングトラブルがありながらも、最後まで熱気冷めやらぬ、カーッコイイー演奏でした。(ウーロン)