CRJ-tokyo Mail-Magazine vol.561より転載
http://archive.mag2.com/0000002108/index.html


■□ライブレポート□■

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●10/10(金) CRJ-tokyo presents "SOUND SURFIN' vol.24" @ 渋谷 O-nest
ツチヤニボンド / Mr.fingers! / ショピン / シャムキャッツ / micromicrophone(ミト from クラムボン)

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"Sound Surfin' vol.24"、無事終了いたしました。 出演者、ネストの皆さん、そしてご来場のお客さん、ありがとうございました。
出演者の素敵な演奏でホントに素敵な時間となったのですが、時間が押してしまった関係で最後までいられなかったお客さんが見受けられてたのが、本当に申し訳なかったです。
当日の管理運営まで、抜かりないイベントを目指し精進していきますので、今後ともよろしくお願いいたします!(かわぞえ)


ツチヤニボンド

ツチヤニボンドを渋谷のLUSHで初めて見たライブの時、そのやっている音楽の面白さとバンドの持つおどろおどろしさというか、吸い込まれるように見てしまう不思議な感覚にヤラれてしまったのだが、今回のツチヤニボンドはそんな彼らの魅力が全開に出たライブだった。
冒頭からこれまでは使っていなかったサンプラーを土屋氏が背を丸めながら奇怪な音を出し、周りもそれに呼応するようにノイズをひねり出すというセッションがまず10分間。なにやってるんだこの人たちはと思いながらも終始ニヤニヤしっぱなしで眺めていると、その後もこれまで披露しなかった昔の曲や、新曲を積極的に交えて行う、まさに実験的にライブを展開していく。
ラストもサンプラーで爆発音を連発で出したりと、まさに解放されたかのようにやりたいことをやりたおしてむしろ逆に清々しいぐらいの演奏でした。(TRY)


Mr.fingers!

まずこの人達のライブを見て思ったのはマスロック、スロウコア、ソウル、歌謡曲といった正直どう考えても相容れない音楽をその肉体性で半ば強引に融合することに成功しているなということ。
ある種ベルギーのプログレ文脈のワールドミュージックバンドThink Of Oneオルタナ版とでも 言えばいいのだろうか。
ちなみに終盤では意外なほどトーンの軽いプラスティックソウル的なグラムロックを披露したり、この人達の肉体性だけではなく頭の良さや作曲能力の高さの非凡さを感じる部分もあった。今後にかなりの期待をできるいいライブだった。(GENJI)



ショピン

3番手、タカハシペチカ(ヒネモス)、野々歩(Co-chestra)、田中馨(SAKEROCK)から成るショピンは、いろんな音の出る楽器やおもちゃをずらーっと並べての演奏。
アコースティックで丁寧な音楽に野々歩さんの文字通り伸びやかな声が乗っかって空間を彩り、フロアのお客さんが床に座ってそれに聴き入るという光景、いい意味で、そこがライブハウスであった気がしません。
3人の次から次へ様々な音を鳴らしていく姿やMCから溢れ出すなごやかな雰囲気が、リラックスしたあたたかな空気を作っていました。
ライブ後には物販のCDも完売、お客さんの心を確かにぐっと掴んだステージでした。(ようね)


シャムキャッツ

力の抜けたいい雰囲気のなか(ショピンありがとう!)、シャムキャッツが登場。 トクマルシューゴらの寵愛を受ける彼らですから、僕らも期待(と多大な プレッシャー)を持っての抜擢。
演奏力、曲の精度ともに、まだまだ稚拙な部分は 否めないのですが、それでも人間力ならぬバンド力とでも言いましょうか、 魅力いっぱいです。
この日のために合宿まで敢行してのライブは、頑張りと 気合いが目に見えるようで、企画者冥利に尽きるというか、一歩一歩進んでいく姿を目の当たりにできたようで嬉しかったです。
何かと消費されがちなシーンの中、決して埋もれることなく、何よりも純粋に音楽を続けてくれることを願うばかり。 あくまでもペースは乱さずに。よくやった! (かわぞえ)


micromicrophone

ミト氏、という人は本当に懐が深く、いい意味でたくさんのものを好きになれる人間なのだと思います。mito solo projectの最終章、楽曲の制作すべてを自身で行ったというmicromicrophone。
その舞台を観るのは今回が初めてでした。中央に設置されたテノリオン(LEDボタンを使って操作する電子楽器)を巧みに打ち、演奏開始。ギターと歌が主体の、しかしクラムボンの楽曲等から受ける印象よりどこか私的で奥まった演奏にテノリオンの音が入り組み、なんとも不思議な空間が作り出されます。合間にテノリオンを操る彼は興味に満ち、心から音を楽しんでいる姿が見て取れました。
後半に差しかかるとこの日のゲストであるSOURのhoshijima氏・Sohey氏が参加、また一味違ったオーガニックなステージに。新たな要素と出逢うたび様々に表情を変えていく演奏が実に彼らしかったです。
ライブの途中、一人でいるときは大抵こんな感じ(黙々と音と向き合っている)と語っていましたが、そういった感性を持ち活動を長く続けるアーティストが限られているなか、純粋な存在であると感じました。
しかし、最後の「波よせて」は本当に心地よかったです。(すなが)